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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第110号       ’01−10−12★

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     想像のほか     

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    ■今回から、文末に、画像のオマケを付けることにしました。

     左脳本位の文章にお付き合い頂いたお礼に、右脳的<私の

     写真集から>でお疲れ直しを、という狙いです。 リンク

     有効期間は、通常、次号配信までの1週間、です。■

 

 

●失って改めて知る、

 

という気分は格言にもなっています <A good thing is known when it

is lost.>が、それをあの双子ビルで味わうとは想像もしませんでした。

 

マンハッタン島の舳先近く、些か無機的な表情でそびえていたワールド・

トレード・センター。 あれが<思い出>だけの存在になり果てるとは。

 

訪れた(ことが一度しか無い、その)時も小火があって警報が鳴り響き、

早々に退散の憂き目。 万一の際は外へ出るのが大変、こりゃ働きたい

場所じゃないな、と呟いたのを憶えています。 でも、それが

 

さながらビル解体工事ショウ。 塔頂アンテナがズブズブと噴煙?の中

へ沈み込んで行くのを見て呆然、そんなに脆かったのか、と驚くばかり。

そして土埃の雲がひいたあと、マンハッタン先端部のスカイラインは、、、

 

これまた想像以上、ツマラナイ眺めになっていました。 やはりあれは、

あの国の、いや、資本主義の、西欧文明の、、 繁栄の、象徴的建造物

でしたな。 アチラの人々の喪失感の深刻さも想像以上でしたが、無縁

の私ですらガックリ来たんだもの、やはり当然でしょうな。

 

 

日系人の設計だからか、ゼロ戦の思想にも通じる究極の合理化。 以前

根元を爆破された時は健気にもちこたえたけれど、こんどはほぼ轟沈。

 

PPAしていたとしても、<燃料満載のジェット旅客機がモロに突入>

という<潜在的問題>まで想定できた人は、まずいなかったでしょう。

 

航路の外だし、軍事施設じゃないし、、、  ハイジャックされるまで

の諸々もまた、想像のほかでしたから。 それらをまとめて、<米国の

テロ対策権威者>カイル・オルソン氏が言いました。

 

 ・同時攻撃なので、警告を受け取る間も無かった

 ・一般のヒコーキが武器になる可能性は誰も考えなかった

 ・小さなナイフの発見は、専門家でないと難しい

 ・だが、空港のセキュリティ係は必ずしも対テロ専門家でない

 ・小さなナイフが大きなヒコーキを武器に変えてしまうとは想像外

 ・ハイジャックと言えばせいぜい目的地変更、と思うから

  みんなおとなしく従う。 しかも武器はナイフ、

  大量虐殺が起きるとは誰も予想しない。 たとえば、

 ・犯人自身を乗せたままビルに体当たりするなど誰が考えるだろう?

 

つまり、そのPPAに専門家が加わっていたとしても、あのような事態

は描き出せなかったろう、予防策はあり得なかった、、 ということ。

 

タブーを破ったと言うべきこの事件で、今後は「何でもあり」になった。

<権威者>も認識を改めたに違いないし、今後この種のテーマでPPA

する人は、きっと映画的にまで想像力を働かすことでしょう。

 

*   *

 

意表を突き、常識をあっさり超えてしまうのがテロの怖さ。 サリンを

撒いたオウムがまさにテロ集団であったことも、これで理解されるはず。

 

  ちなみにオウムは、<事実上解読不能、現時点最強の暗号ソフト>

  と言われる<RSA>を用いていたそうです。(サイモン・シン著

  新潮社発行 <暗号解読: The Code Book > p.404 ) 

 

  救済の宗教なら、むしろ「知って欲しい」はず。 知られちゃ困る、

  隠そう、があったから暗号を使った、と見るべきでしょう。 何を

  そんなに隠すんだ?  ケーサツはちゃんと掴めたのか? 新聞や

  TV、これは報道してなかったんじゃないか?  と疑問続出で、

 

同時に、オウム根絶を怠ったこの国の甘さは想像のほか、ということも。

政治家も警察も平和ボケ。 今更ながら、、、 と口惜しいが、これで

目が覚めたのなら、憚らず改めりゃ良いのだが、、 それもアヤシイ。

 

色々思い浮かんで、ああ、何という気の重さ。 NY事件目撃者たちの

Oh, my god! が、未だ私の中でこだましております。

 

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●救出の希望は尽き、

 

今は<街>の機能回復に全力投入。 しかし何しろ、あの高さのが2棟。

巻き添えにされた周辺のビルも含め、瓦礫や鉄屑が百数十万トン、いや、

もっとかも知れない。 その作業の<量>だけ考えても、ウーン。

 

さらに、その<質>を考えると気が遠くなります。 危険に満ちた作業

環境なので、作業者も重装備せざるを得ない。 遺体回収断念はやむを

得ないとしても、行方不明者の特定化は依然必要だし、犯罪の証拠集め

も並行させなくてはならない。 一寸刻みの手作業が伴います。

 

当然、埃まみれの営々たる作業ぶりにも拘わらず、進捗は遅々。 何も

かも深い地下構造に堆積してしまっているから始末が悪い。 重機械で

能率を上げたいが、周辺軟弱地層のなだれ込みを誘う恐れもある、、

 

いっそ埋めて平らに、、 というわけには行かない。 NY商品取引所

保有の金銀塊数百億円相当も沈んでいるそうですから、、、 要塞並み

の地下金庫自体が救出の対象になる、とは想像のほかだったろう。

 

どれほど設計に知恵を尽くしたと言っても、平和的使用における安全や

便利快適の範囲。 <戦争的事態への対応>なんてことは、このビルに

限らず、どこでも要求されまい。 民間の施主には想像のほかですから。

 

 

108号で性悪説を持ち出しましたが、<悪>もピンからキリ。 我々

周辺のは、行なうべきことを怠っている、という消極的な<悪>である

ことが多いけれども、テロの<悪>はいわばチョー積極的。

 

どの部分を見ても、(何度も繰り返したように)<想像のほか>ばかり。

これではPPAしておこうにも、事実上作業不能です。  即ち前号で、

 

  しかし、、PPAで、、困るのは、それに盛り込むべきコンテンツ

  が、未体験領域だけに乏しいこと。  想像力も働かせにくい、、

 

とした通り。 お手上げです。 じゃ、運を天に任せるほか無いのか?

 

*   *

 

考えても仕方ない、何か起きたらみんなで一生懸命に、、 というのが

日本式。 それも一つの選択ではあるが、多分それだから、すべて後手

に回ってしまう。 そしてもちろん、たいていは取り返しがつかない。

 

役所や大企業には<人事異動>という責任回避の仕組みがあるから尚更

「その時はその時、、」、先送りにして済ませる。 問題が発生する頃

には、<すべきだったのに何もしなかった人>は、もう他人事、の距離、、

 

しかも何故か、遡って追及する習慣が無い国柄。 だから<先送り>に

しなきゃバカ。 何もせず、在任中何も問題無かった、気付かなかった、

で通す。 あっても隠す。 おお、コトナカレ主義、隠蔽体質、、

 

そんなのを少しでもマシにするには、、 せめてPPAを、でしょうな。

ところがその効果を認めたがらない人が多いのでビックリ、ガッカリ。

 

*   *   *

 

PPAはEM法では<RA:リスク分析>。 集合研修でRA実務作業

を行なって頂いた後、グループのメンバーに感想を尋ねると、「すでに

ワカッテイルことを書き並べただけですね、、」と不満そう。  その

 

一方には、これで将来への自信が持てるようになった、と言う人もいる

のだから、講師はひるまない。 たしかにそうです、と率直に認め、で、

あなたは何を期待なさったのですか、と訊いてみます。

 

と、「いやあ、リスクってのは何かこう、思いも及ばないようなことが

降りかかって来るというか、、」 じゃ、人間の想像のほかのことには

どう備えたら良いのでしょうね? 「それが、、何かあれば、と、、」

 

そんなもの、ありゃしません。 それがひねり出せるくらいなら、講師

なんかしちゃいないよ、、 とまでは言わないけれども、じゃ、超能力

者を顧問にでもして、、 てな減らず口くらいは叩くかも。 そして、

 

<人事を尽くして天命をまつ> 思い付く限り手を尽くしておく、それ

以上のことは人間には出来ません。 ところが、思い付こうともしない、

思い付いても実行はしない、そして案の定、<その時>にはパニックで

何も出来ない、という人が多いのです。  それで良いと思いますか?

 

こう訊いて「良い!」と答えた人がいないところを見ると、やはり良く

ないらしい。  ここに書き出された予防策、実行可能でしょ? ハイ。

じゃ、このくらい、してましたか? イイエ。 じゃ、やりましょうよ。

 

*   *   *   *

 

そうは言うものの、自然災害やテロ被害に有効な予防策は無いでしょう。

その場合は、緊急時用対策(EM法では発生時対策)を十分に、とする

のみです。 必要な機材やネットワークを<あらかじめ準備しておく>

ことによって、イザ!の時は迅速に立ち上がれますから。

 

日曜(9月30日)朝のTV番組で、石原都知事が「先頃の災害訓練に

先立って<図上演習>行なったが、大変有益だった。 これまで頭脳の

訓練はしていなかったが、非常時の連絡や意思決定に役立つ。 そんな

時、人間はいくらでも(ホントかね?!)動かせるが、人を動かす側が

訓練されていなければ、肝心の指令が出せないのだから、、」

 

そのシミュレーション、PPAのシートを使ってやって欲しかったなあ。

記録が残る、コピーして関連先へ配付できる、それを下敷きに、もっと

練り上げることも出来る、、、 

 

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<想像のほか>の<悪>の結晶、テロ。 その予防はきわめて困難です。

が、それだけに、起きた時どうするかはシッカリ考えておく必要があり

ます。 未然の我が国は我が国なりに、東京は東京なりに、組織は組織

なりに、あらかじめ備えておくべきです。 そのヒントになる例は、

 

WTCビルから避難した人々。 きわめて平静に、弱者をすら助けつつ、

整然と、であったと報道されました。 日頃の訓練の成果、だそうです。

 

マニュアルの配付もそれに基づいた動作の練習も、みな<あらかじめ>

しておくべきこと、そして実際に練習<した>こと。 議論も、資料の

作成配付も、実際の<練習>抜きでは万一の場合に役立ちません。

 

その避難を可能にしたのは、階段室の<与圧装置>。 もし無かったら、

階段室は<煙突>化し、人々はそこで中毒死か酸欠死していた。 前回

の爆破事件でその必要に気付き、ただちに設置した、、 という話です。

それが何千人かを救ったわけ。 すべきことは必ずすべき、の例でした。

 

何が出来るか、何をすべきかを<可能な限り>導き出すのがPPAです。

そう、 Rational Process は<想像のほか>を生き延びるための技法!

 

しかし、実行が伴わなければただの知識。 知識の時代ではあるけれど、

知識だけじゃ生き延びられないんだよなあ、、、

                          ■竹島元一■

 

       ★<私の写真集から> ヨセミテ残照

 

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